第6章:知恵と芸術の都テシオン
テシオンは豊かで美しい、夢の都だった。 街にはトラキヤ風の建物が立ち並び、行き交う人々は、髪色、顔形も様々。共通の特徴と言えば、月や星の模様が入った絹服くらいなものだ。それもオレたち西側の人間からすれば、ほんの一握りの上流階級にしか手に…
パルテミラ~砂漠の妖精帝国~
第5章:御前試合
夢を見ていた。 オレは体中傷だらけで、テシオンの市街を逃げ回っている。 そのあとを、スレイナが鞭を振り回しながら、エミールが罵声を浴びせながら、おばさんが林檎を投げつけながら、どこまでも追ってくる。「もう一発打たせろ、この被虐趣味!」「消…
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第4章:エミールとの邂逅
荒野をひたすら南に進むと、エウフラーテス川に突き当たった。 そこから川に沿って、さらに行軍は続いた。 ローマ軍として渡河した時とはまた違った景色だが、この川の周りには豊かな大地が広がっている。起伏のある草原に、ポプラ、ギョリュウなどの低木…
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第3章:妖精たちの饗宴
意識が朦朧とする中で、優しく囁きかけるような、どこか懐かしくも感じられる歌声が、かすかに聴こえてきた。 何重にも重なり合った、透き通るような綺麗な高音。 オレはその歌声に身を委ね、しばらくの間、自分がどこでなにをしていたのかすら忘れてい…
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第2章:カルデアの戦い
荒野に響き渡る異国の笛の音。 鹿のような動物にまたがり、飛ぶように駆け回る女の騎士たち。 神々しさすら感じられる出で立ちだった。緑と純白に彩られた軍服が、陽光を受けて鮮やかに光り輝いている。パルテミラ帝国軍本隊のお出ましだ。 オレたちはそ…
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第1章:砂漠のエルフ
――ベテルギウスの手記―― 銀砂を撒き散らしたような――満天の星空。 故郷と変わらぬ景色を眺めながら、オレはため息をついた。こうしている間だけは、ここが遠い異国の地であることを忘れられる。 本当に、とんでもない遠征に付き合わされたものだ…
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プロローグ 幻の帝国パルテミラ
*著者――ポカフォフ(プロセイン王国) プリニウス暦一一九七年。蒙句麗《もうぐり》帝国が、アルケサス朝の首都テシオンに侵攻した。 当時世界の四分の一を支配していた超大国が、史上最大規模の兵力で行った攻囲戦である。テシオンは二週間足らずで陥…
パルテミラ~砂漠の妖精帝国~
主要登場人物
【大ローマ帝国属州スパルタクス】☆ベテルギウス 主人公。スパルタクスの若き将軍。☆ソグナトゥス ベテルギウスの師。スパルタクス最強の戦士。【パルテミラ帝国】☆ゼノビア・パルテノス パルテミラの女帝。☆ヴェルダアース パルテミラ将軍。異称「美…
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