妖峰戦記-宝永の乱-【第五章】

 

鴉天狗が越後に亡命した矢先――越後大名が急死した。それから間もなくして越後国は後継者を巡り内乱状態となる。幕府軍を退けるほどの武力を持つ鴉天狗が、この争いに巻き込まれないはずがなかった。彼らの運命やいかに――

そして羽貫衆の一員となった影狼もまた、妖派との直接対決に向けて動き出す。

歴史ロマンと異能バトルの和風ダークファンタジー

第二部へと繋がる波乱の第五章!

第54話:東国十一国同盟

 国境付近の宿で一泊した後、笹暮とその従者たちは中仙道経由で上野国に入った。 大名の会合は上野国の箕輪《みのわ》で開かれる。幕府の本拠地と言えば江戸《えど》――という常識が抜けきっていない影狼からすれば意外だった。 道中、笹暮はある秘密を影…

第55話:荒ぶる会合

 会合の間中、影狼は柘榴のことが気になって仕方がなかった。 柘榴はまだ一言も発言がない。他国も大名以外が直接話に加わることはほぼなかったから、それが普通なのだろう。しかし柘榴がそこにいるというだけで、影狼は心臓を握られているような気分になる…